スポンサーリンク

2018年 小屋浦3丁目の現状と課題

被災してから1週間が経った、安芸郡小屋浦に行ってきました。

皆さんも各地でボランティアに入ったり、

現地には行けなくても、SNSで呼び掛けなど、お疲れ様です。

 

写真を交えながら、坂町小屋浦の現状と、

今後の課題を書いてみます。

(思った通りのこと、町民の方の言葉をなるべく書いていますが、

自治体をはじめ、誰か他者を責める意図は無いということだけ、先にご承知下さい)

 

f:id:ok-farm:20180714234248j:plain

★坂町小屋浦3丁目の現状

・小屋浦町内、全体的に高齢者が多い

・電気は来ている

・断水中(上水は復活したが、下水が復旧作業のため、断水している)

・3丁目内のエリアにもよるが、多くの家が床下、床上浸水。

・1丁目、2丁目と比べ、土砂の水分量が多い

・水分量の多い土砂が、60〜80センチ程度は住宅道路を覆っている。

  また、自宅の中に流れ込んでいる家もある。

 

★15年以上、川手のことを色々と支えて下さっているKさん(小屋浦在住)が、

この度の大雨で、被災されました。

小屋浦では、7/6の夕方〜夜あたりに、

『ドーーーーン!!』という音が山から何度もしたそうです。

恐らく、土砂崩れが起こった音だそうです。

(ちなみに、この土砂崩れは、ニュースで言われている、70年前の砂防ダムの決壊〜とは別の場所の土砂崩れです。)

Kさんと、その地域の方は、床上140〜150センチの床上浸水。二階に逃げ、食べ物がない状態で、2日間ゴムボートの救出を待ち、無事に、生還されました。

 

 

まず、土砂崩れが起こった場所の写真がこちら。

f:id:ok-farm:20180714221029j:image

少しここから奥に行きましたが、100メートルくらい登っても、崩壊のスタートが見えないような感じでした。

 

そして、この写真の場所を背にすると、まずこの光景。

f:id:ok-farm:20180714221226j:image

 

段々畑だった場所が、その下の青い瓦の民家を襲いました。写真左の方に見えるのが、半分以上埋まったワゴン車です。

f:id:ok-farm:20180714221419j:image

f:id:ok-farm:20180714221431j:image

青い瓦の家を、横から見ると、、、。

中に軽トラが押し上げられているのが分かります。沈んでるのではなく、上に上がってます。

その隣の民家がこちら↓

f:id:ok-farm:20180714221707j:image

この状況で、死者が出なかったのはかなり奇跡だと思います。

 

そのまま崖崩れ発生場所を背に進むと、

生活道路の交差点に。

f:id:ok-farm:20180714225737j:image
f:id:ok-farm:20180714225742j:image

f:id:ok-farm:20180714221857j:image

持ってきたスコップを突き刺してみると

深さ60センチは軽く超えている

f:id:ok-farm:20180714221958j:image

タチが悪いのは、土砂がベチャベチャということ。近所の人も、私とKさんご家族も、何度も足がハマる。

ハマると、長靴はおろか、太ももあたりまで足が埋まりこむ。誰かに足を引っ張ってもらわないと、脱出困難。写真は川手がハマったときのズボン。

f:id:ok-farm:20180714222221j:image

 

 

近隣の人と協力して、流木やトタンで足場を作り、Kさん宅へ進む。流木は結構滑りやすいので、あまり信用出来ないが、ハマるのに比べればマシ。

f:id:ok-farm:20180714224513j:image

帰り道に分かったことだが、小屋浦3丁目から小屋浦2丁目に向かうに連れ、土砂の水分がどんどん少なくなっている。小屋浦小学校の付近では、ビーチのようなサラサラの土。(写真は2丁目の小学校付近)

f:id:ok-farm:20180714222708j:image

もちろん、2丁目の人の土砂撤去も大変なのだが、猫車を余裕で押せる、しっかりとした路面が天国のように感じながら、帰路についた。

 

話を戻して、Kさん宅にたどり着く。

Kさん一家は、現地に入るのは3日目?らしいが、ハッキリ言って家の中の片付けは全く進んでいない。

許可を得たので、室内の写真も掲載する。

f:id:ok-farm:20180714223122j:image

3日かけて、少し片付いた、Kさんの居間。

書き間違えではない。これで、3日分片付いた部屋なのだ。最初に入った時は、どんな状態だったのか、、、、。

 

f:id:ok-farm:20180714223948j:image

台所に入る。

こちらは、まさに手付かず。

停電が続いていたため、冷蔵庫の中身もヤバそうだから、あえてまだ開けていない、とのこと。

 

f:id:ok-farm:20180714230719j:image

風呂場も詰まったまま。

 

 

f:id:ok-farm:20180714224123j:image

小屋浦3丁目の住民の多くは、家の敷地内にクルマを停めている方が多い。Kさんもそうである。

そのため、土砂の流れで移動したクルマが、Kさん宅の玄関を塞ぐ。ドアは半分くらいしか開けられない。

 

f:id:ok-farm:20180714224757j:image

向かいの家は、もっと状態が悪い。

玄関のドアの下半分を、土砂が抑えているため、ドアがそもそも開かない。

 

f:id:ok-farm:20180714224902j:image

そして前述のぬかるみ。電気の点検にきたスタッフも、ぬかるみのひどい向かいの家に入るのを断念していたくらいだ。

 

このような道路状況のため、Kさんの家の片付けが、3日間全くはかどらなかったことに納得した。まず、浸水した場合、真っ先にやる

『家の中の物を全て出す』が、行えないのだ。

 

昼になってから入った話だが、この日にようやく、坂町が依頼したショベルカーが、小屋浦3丁目に入ってきたらしい。が、Kさん宅は、小屋浦3丁目の横幅を、10としたら、7とか、8とかいう奥の方の位置。対してショベルカーは、まだ、1の位置の土砂避け始めたばかり。恐らく早くとも明日、悪ければ明後日以降にならないと、Kさん宅の道路には来れない。

なるべく床上浸水の状態を解消したいKさんや近隣の方だが、どう考えても、重機が来ないと、いつまで経ってもベチャ土砂の水分が家の下に増え続けるのだ。

 

とはいえ、少しずつ、Kさんの家の家具などを外に運び出す。

f:id:ok-farm:20180714225634j:image

 

タタミを出し、ゴミを、出し、家具を出し、

家の中も、少しは片付いてきた。

f:id:ok-farm:20180714225831j:image

Kさんの居間には、掘りごたつがあった。

そこに、テレビやゴミや、色々な、家のものが

落ちていた。

f:id:ok-farm:20180714230034j:image

 

掘りごたつの下に、水が溜まっていたので、バケツなどでくみだす。

協力して、水をカラにしたと思ったのも束の間、少しずつ、少しずつまた水が集まってくる。

f:id:ok-farm:20180715000854j:image

当然である。前述の通り、家の床下より、道路の、土砂の方が高いのだ。道路の水が、いつまでも家の床下に入り込んでくる。

 

4日間、必死に作業したKさんですらこの状態なのだ。高齢者の多いこの地域では、避難先に避難したまま、自宅を見に戻っていない住人も多々いる。しかも、戻ったところで、高齢者1人で作業できるようなシロモノではない。

しかし、ボランティアが来たとしても、クルマも、猫車も、使えない状態なら、恐らく大した結果は出せない。

繰り返しのようになるが、重機が家の前まで入ってくれるのを、待つしかないらしい。

既に浸水から1週間。

修復可能な家が、少しずつ、ダメージを受けて行く、、、。

 

そうこうしている間に、3時になってしまったので、この日の作業は終了。

 

少しは明るい話題も出しておこう。

土砂崩れのあった現場を、最初に写真で紹介したが、実はそこは『天国』である。

山からの水がたくさん流れてくるため、断水中の小屋浦3丁目にとっては、貴重な水源。

給水車までは、歩いて15分くらいかかるが、ここならすぐにこれる。しかも、山の水は冷たく、日陰もあり、本当に気持ちいい。

断水していて、家の中の泥の処理が出来ないKさん宅での作業の合間にくるこの場所は、本当に、落ち着ける場所だった。お昼ご飯もここで食べた。

f:id:ok-farm:20180714231112j:image

 

帰宅前に、小屋浦小学校に寄り、

罹災証明を提出する。

小学校近辺は、橋が崩落しかけていたり、

また、土砂が1〜2メートル、川底を覆っているらしく、このままではまた氾濫の恐れがあるため、自衛隊の方が、川の土砂を運び出していたりした。

f:id:ok-farm:20180714222708j:image
f:id:ok-farm:20180714231359j:image
f:id:ok-farm:20180714231404j:image
f:id:ok-farm:20180714231352j:image
f:id:ok-farm:20180714231345j:image

 

国道31号に出る前に、小屋浦3丁目で、作業中の重機を見かける。

だが、まだKさんの家はまだまだ遠い。

川手たちが帰った後の、お仕事に期待しつつ帰路についた。

 

今日、Kさん一家4人と、私5人で、朝7時から春の3時にまで作業をした。

1人あたり、1の作業をしたとしたら、今日は5の復旧活動をしたことになる。それは、間違えなく手応えとしてある。、家の中が片付いたのは、写真で見れば一目瞭然だ。

が、この5の作業を、あと何回繰り返せばいいのか?ゴールの、数字はいくつなのか?

 

考えたら、少し足が重くなった。

私以上に、4日も作業を、続けているKさん一家の疲労はかなりのものだと思う。

 

ご家族のサポートがある、Kさんですら、この困難な道のりである。近くに頼れる人のいない高齢者など、ボランティアが仮に来てくれたとしても、復旧への道筋が見えない方が多くいると思う。ひとつひとつやって行くしかないのだ。ドラえもんも、秘密道具もここにはない。やらなければ、何も進まない。

 

 

でも、今日被災地で作業をしながら、すごく嬉しい気持ちになった、というか、すごいな、と思った事がひとつあります。

被災者が皆、明るいのです。

もともと私とご縁のあったKさんは、超ポジティブな方なので、『まぁ、この人は悲観せずに淡々とこなすんだろうな』と思っていましたが、Kさんのご近所の方も、割と笑い声を飛ばしたり、『おぉー、生きとって良かったのぉー。まぁ頑張ろうで!』と、お互いに声を掛け合ったりしていました。

私が見る限り、泣いていたり、悲しい表情の方は、見ていません。本当に皆、明るかった。

 

物理的な話をすれば、重機がないと作業が進まない、という事なのかもしれません。

が、それと同じくらい大事なのは、私が見た『前向きな気持ち』なのかなぁ、と帰りのクルマの中で思ったりしました。

 

Kさんと作業している時に

『自分だけ、悲劇の主人公を気取ってもどうしようもない。難しく考えずに、やれることをやってくしかない。生きてるんだから、何とかなる』というような事を言われました。

今まで何度も川手に、色々アドバイスを、下さったKさんですが、

改めて『この人すげぇなぁ(笑)』と思いましたが、本当にその通りだと思います。

 

川手は、普段の仕事をしながら、

もう少し小屋浦3丁目のお手伝いに行くつもりです。

 

今、Kさんも小屋浦3丁目の皆さんも、重機を待つ以外は、何をしたらいいのか分からない状態だと思います。

 

ただ、もし今後道路の主な土砂が除去出来た時、

今このブログをご覧になっている皆さんのチカラが必要になるかもしれません。

 

ぜひ、引き続き小屋浦3丁目の復興を、このブログで見てもらったり、現地に来てもらって、一緒に進めていってもらえたらと思います。

 

皆さんも、お疲れのところ、長文にお付き合い頂き、ありがとうございました。

追記

翌日の様子をブログでアップしました。

し被災者同士でトラブル寸前、、、。

何とか回避できました

http://ok-farm.hateblo.jp/entry/koyaura2

 

 

 ーーーーーーーーーーーーー

OKファーム 川手晋治

 

ブログのブックマークお願いします!

また、FacebookでOKファームという名前で情報発信しています。

https://facebook.com/ok.farm831

 

本業は、東広島市豊栄町で、農家をやっています。

http://ok-farm.hateblo.jp/entry/mind