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被災者同士でトラブル発生寸前!それを救ったのは、、?【小屋浦3丁目復旧活動記】

【7月15日小屋浦3丁目 支援活動2日目】


★昨日7月14日に続き、小屋浦3丁目のKさん宅のお手伝いに行って来ました。

http://ok-farm.hateblo.jp/entry/koyaura1

昨日の記事は上から↑ご覧下さい

 


やること自体は、昨日と変わらず、家の中のものを外に出す作業。
道路の土砂を運びだそうにも、Kさん宅の前の道路は、土砂崩れがあった土砂の、真正面の通りのため、土砂に加えて大木が道路に紛れています。
この大木と土砂がキッカケで、今日、ある事件が起こりました。

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(写真は7月15日朝のもの)


被災者同士でトラブルが起こった、、、いや、起こりかけたのです。


★今回の内容は、かなりデリケートな部分を含みます。人のお名前も地域も全て仮名で表記します。
『デリケートな話なら、ブログに書くなよ』と、言われるかもしれませんが、それでも知っておいて欲しい理由があります。
この問題を放置していたら、『復興の格差』が拡大してしまうからです。


★この記事を公開する目的は、
今、西日本で復興活動をしている地域で
このような被災者同士でのトラブルを起こして欲しくないから。もし次に災害が起こった時に
『この点に注意しないと、復興しても、住民同士の仲が険悪になってしまうよ』という問題提起をして頂き、自治体や専門家の方の対策を立てられるようにして頂きたいのです。


繰り返しになりますが、理由は上記のものであり、
今日トラブルが起こった、小屋浦3丁目の方を非難したり、川手が不満をぶちまけたいとか、そういう場ではないことだけ、まずご承知下さい。


★そして、この記事は、全文を読まないと川手の真意が伝わらない可能性が高いです。
もし、ご友人などにシェアする場合は、少なくとも全文をお読み頂いた上でお願いします。
個人の特定につながりそうな部分は、フェイクを入れて書いています。つまり、この記事だけで、個人の特定は不可能です。
重ねて、被災地域の方を傷つけるようなコメント、シェアはお控えください。

 


★何故、トラブルが発生しかけたか


ことの発端は、昨日の記事で紹介した、『天国』である、水場です。
土砂崩れ後、この崖崩れの現場から、少量ずつですが、水が絶え間なく流れていました。
川手は全く気に留めていなかったのですが、その湧き水が、小屋浦3丁目内の、とある地域に常に流れ込んでいたそうです。

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その集落の方(以下A集落)は、水が流れを止めようと、対策を取りました。
どのような対策を取ったかはここでは書きません。そこは今回の指摘したい点ではないので。


すると、山水のA集落への流入は、確かに止まり、A集落の復興は加速するかに思われました。


★しかし!!!
今度は、別の集落(B集落)へ、山水が流れ込み始めたのです。少し前まで、水が乾いてきていたB集落は異変に気付き、よく調べると、A集落の浸水対策が、結果的にB集落への被害を与えていることが分かり、悩んだ上でA集落に抗議に行きます。
第三者を踏まえ、A集落、B集落で話し合いが始まりますが、当然話がまとまりません。
B集落は『そっちが排水作業したせいで、こちらの復興が遅れる。しかも、もし大雨がまた降ったらB集落がまた被害拡大する。すぐに元の状態に戻してくれ』
A集落も、『せっかく自分たちで人手をかけて、復旧活動を進めたと思ったところで、今さら元に戻したくはない。そもそも、B集落に悪意を持って作業したわけではない』となり、話は平行線。


★ここで、キーポイントになるのが、何と!
川手が作業していた、『Kさん宅前の道路』だったのです。

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Kさん宅の前の道路は、土砂崩れが起きた場所の真正面の通りだったので、他のエリアには流れ込んでいない、流木が大量に流れ込んでいました。

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(↑この写真は、Kさん宅より上流の流木。これと同じレベルのものが、泥の中に埋まっている)
その大量の流木がKさん宅前で動かなくなり、土砂が更にたまり、Kさん宅の前は、小屋浦町内で一番ひどいドロドロ状態、ぬかるみになっていたのです。(昨日今日と、町内を歩いてみて、Kさん宅前以上に、ひどいぬかるみを見たことがありません)
★そして、土砂崩れ現場から見て、Kさん宅の前の流木を乗り越えた先に、雨水を排水する、排水溝があったのです。言い方を変えると、先ほどの流木がなくなれば、A集落もB集落も、浸水被害が無くなる(減る)可能性が高くなる!


で、先ほどのA集落、B集落の人が、Kさんの道路に面した人に、『流木は、大きすぎるので、人力の撤去は、現実的でない。だからせめてKさんとこの土砂地帯に、土砂崩れ現場からからまっすぐ排水路を掘らせて欲しい。作業は、A集落B集落、そしてKさん集落にも手伝ってほしい』と。


もし、これがうまいこと行けばA、B集落も助かるし、理想通りに行けば、Kさんの家の前の道路も少しはベチャベチャ具合が直るかも、、、。
しかし、足場は最悪で、全て人力です。
土砂は1メートルくらいの深さになる為、危険も伴う上、もし大木への排水の作業が中断した場合、A、B集落への浸水が無くなる代わりに、全ての水がKさんの前の道路に流れ出すリスクもあります。
なので、Kさんの通りの回答は
『排水路を掘ることは分かった。ただ、上流から水路を掘って、途中で作業が不可能になると、自分たち(Kさん集落)に甚大な被害が出る。なので、A集落B集落にも、排水溝のある下流から作業を開始してほしい』


この提案に、Kさん集落の人で『本当に大丈夫なのか?』と戸惑う人も中にはいましたが、とりあえず総動員で排水路を下流から作る作業にかかりました。しかし、、、、。


やはり、足場が悪い上、人力だけでの作業では、全く作業が捗りません。


何とか排水といえるかどうか程度のスジは付きました。確かに、少しは水が逃げていく。ただし、ほんの少し。
しかし、1番巨大な流木(恐らく数百キロ)はおろか、普段なら軽く持ちあげられる流木すら、足場が悪く、持ち上がりません。


A集落B集落へ川手は行ってないので分かりませんが、

その時点で不利な状況に陥ったのは、Kさんの前の通り。

タダでさえひどい浸水なのに、更に絶望的な浸水をする可能性が出てきました。

 

徐々に、全ての住民の雰囲気が悪くなりかけたのですが、、、、そこに現れたのは!!!!

 

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坂町が派遣していたショベルカーでした。
川手が思うに、本当にドラマみたいなタイミングでした。
昨日のブログで、『重機は来てくれているが、Kさんの道路にはあと数日、辿り着かないかもしれない、、、』と早期の来訪を待っていたショベルカーが、住民総出で作業しているそこに現れたのです。
事情を説明し、本来の作業工程とは違うものである、『Kさん集落の流木を撤去し、排水路を確保する』という業務を、行って下さいました。

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ぬかるみの中、ショベルカーそのものが立ち往生する危険もある中、スタッフさんが、流木を撤去してくれ、地域の人からは歓声が上がりました。

 

Kさん宅の致命的な浸水の可能性も減ったので、その後、地域の人が排水路を上流から作ります。

土がベチャベチャ過ぎるので

スコップを使うのではなく、トタン板を踏みつけ、その踏みつけたトタンが道を作るという新スタイルも発見されました(失敗したら自分が沈みますが笑)

2枚のトタンを交互に前方に送りながら、道筋をつけていきます。

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重機と、地域の人のチカラがあり、何とか排水路ができ、その後、当初目指していた道路沿いの排水路も復活しました!!

分かりにくいですが、土砂の中央に、うっすらとスジがついています↓

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結果オーライ、というやつでしょうか。
たまたま。本当にたまたま、重機がそこまで来ているから、その場でトラブルは発生しませんでしたが、もし、重機がいなければ、A集落、B集落、Kさん集落で『お前のとこが復興作業をしたらうちの家の浸水がひどくなる!どうしてくれる!!自分さえよければいいのか!』


と、本当に大きなケンカになっていたと思います。


★昨日、『被災者は皆明るく振る舞っている』と川手はブログに書きました。
確かに、明るいとは思いますが、ギリギリのバランスで、皆耐えているというのを再確認しました。
悪意の無い行動から始まったものであっても、この非常時であれば、少しの事でピリピリしてしまう。
個人のちょっとした選択が、自分の家や、地域の復興に関わる問題に発展しかねない問題になりうる。そうなったら、住民同士で、復興したあとにも引きずりかねないトラブルが起こるのだと、感じました。

 

ここからは、川手の勝手な妄想タイムです。

小屋浦3丁目の内容ではなく、今後もし、災害が起こった時に、、、という内容も含みますので、お忙しい方はパスして頂いて大丈夫です。お時間ある方はぜひご一読お願いします。


★以下は川手の理想論です。
理想論ですが、こういったトラブルを防ぐために出来ることを考えてみました。


・自治体などの役所。役所が無理なら、被災地域の町内会、グループ単位で、『地域全体の復興計画』を被災後に考える。


・復興計画を考えるにあたり、集落の中でリーダーシップを取れる何人かが、集落全体を回り、どこの復興活動を最優先にすべきかの情報収集をする。


・復興活動を個人単位で行う前に『集落全体の復興のために、どこにチカラを入れるべきか』を考え、それをなるべく多くの住民に参加してもらう。


以上です。


かなり、無理な方法だというのは承知です。ハッキリ言って非常時に
『お前んちも大変だと思うんだけど、もっとひどい集落の復興を手伝ってくれ!』とか、
『確証はないけど、少し離れた、地域の道路を先に片付ければ、大きいトラックが入れるようになるから手伝ってくれ!』とか
今回のように、
『これ以上の浸水を防ぐために、まずは排水路の確保をしないといけない。離れたC集落を手伝いにいこう!』
という、自分の家を投げ出して何かするというのは、アタマで分かっていても、
特に非常時には、実行にはうつせません。
だから、理想論になってしまいますが、
日常から住民同士が意思疎通を図りやすい関係を築くだとか、
住民全体のことを考えられる人間が被災後にトップに立ち、リーダーシップを取ることが出来れば、地域全体の復興が加速できるではないか、、と思うのです。


★また、コレも賛否両論ありそうな意見ですが、
地域全体を、救うために、『お前のとこは後回しにさせてくれないか?』というエリアがどうしても出てくると思います。そのエリアの住民には我慢して頂く代わりに、罹災証明と加えて、特別な支援が受けられるような何かを発行するとか、、、。

皆同じ被害を受けているので、納得行かない人もいると思いますが、川手の勝手な妄想の域の話です、、、。

ただ、目に見える『お金』とか、『行政からの補助』という、対価があるのなら、地域のために行動する気持ちの後押しになるのなら、それもまた悪い事ではないのかと思います。


★ハッキリ言って防災に関して川手はシロウトです。これ以上の研究は、僕のやるべき領域を超えています(笑)
もし、防災のことや、復興活動を加速させる研究をされる企業さんや大学、対策する自治体などありましたら、今後の災害に向けて、ご検討をお願いしたいと思います。


★また、これは別件ですが、人手があるご家庭や、道具や業者さんを雇えるご家庭は、復興が進みますが、その一方で、一人暮らしの高齢者や、経済的に余裕のない方は、全く復興活動が出来ない、という現実もあります。今回のレベルの水害は特殊かもしれませんが、チカラのある家庭はどんどん作業が進む一方、チカラのない高齢者の家の方に、結果的にどんどん水がたまるような構図になる心配もあるのだと思いました。


★自分の家がピカピカになったとして、
両隣の家が、まだ浸水したまま、ドロドロの状況だったら、、、。それは結局、自分の家にもニオイや衛生面で悪影響を及ぼします。
地域全体のマイナスになります。
一人暮らしの方、高齢者などを、どうサポートしていくかというのも、改めて考えさせられました。


★ちょっとネガティブな内容が多めの記事になりましたが、現地で思った事を書かせてもらいました。


少しずつですが、Kさんの家の浸水した家も片付いてきています。
記事が長くなったので、
Kさんの家の片付け具合は、別記事をぜひご覧ください

http://ok-farm.hateblo.jp/entry/koyaura0715

 

 

f:id:ok-farm:20180716071412j:image
長文にお付き合い頂き、ありがとうございました。
三連休の最後、7月16日は、川手は小屋浦へは行きません。
被災者も現地でボランティアをされる方たちも、体調にはお気をつけ下さい!水分補給はしっかりと!

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OKファーム 川手晋治

 

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本業は、東広島市豊栄町で、農家をやっています。

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